総合点の下に、情報充足度という数字が出ています。点数とは別の物差しで、その点数がどれだけ確かかを表しています。100点満点で80点と出ていても、情報充足度が45%なら、それは「80点の物件」ではなく「半分しか見ていない状態での80点」です。
採点するとき、分からない項目にどう向き合うかは三つに分かれます。推測で 埋めるか、減点するか、分からないままにするか。
推測で埋めるのは論外です。その数字がどこから来たのか誰にも説明できなく なります。では減点はどうか。一見まともに見えますが、これは調べていない人を、 悪い物件を買おうとしている人として採点するということです。建物の中を見て いない段階の物件と、見たうえで問題があった物件が、同じ低い点になる。 使う側から見れば、区別がつかないぶんだけ質が悪い。
だから三つめを選びました。点には入れず、確からしさのほうを下げる。 代わりに、何が未確認なのかを結果の画面に書き出します。
情報充足度はカテゴリごとに0から1の値を持っていて、全体の数字はそれを カテゴリの配点で重み付けした平均です。
情報充足度 = Σ(カテゴリの充足度 × 配点)÷ Σ 配点
配点は診断の種類で違います。中古戸建は物件25・立地20・価格20・リスク15・ 資金10・資産性10。土地は建てられる家25・リスク25・接道15・立地15・資産性10・ 資金10。マンションは価格30・資産性20・管理15・リスク13・立地12・資金10です。
単純平均にしていないのは、配点の大きいカテゴリが分かっていないことと、 小さいカテゴリが分かっていないことを、同じ重さで扱いたくないからです。 戸建で物件(25点)が丸ごと未確認なら、資金(10点)が未入力のときより 情報充足度は大きく落ちます。
中古戸建の場合で並べます。数字は0から1です。
| カテゴリ | 状態 | 充足度 |
|---|---|---|
| 物件 | 築年も構造も不明 | 0.3 |
| 築年が分かる | 0.6 | |
| 築年と構造が分かる | 0.7 | |
| 価格 | 類似の成約が足りず評価できない | 0.2 |
| 成約データの確からしさ 低 | 0.4 | |
| 同 中 | 0.7 | |
| 同 高 | 1.0 | |
| 立地 | 駅距離が不明 | 0.3 |
| 駅距離が分かる | 0.6 | |
| 周辺施設が全種類そろう | 0.95 | |
| リスク | ハザードを取得できていない | 0.3 |
| 一部の層が取得できない | 0.5 | |
| ハザードを取得できた | 0.85 | |
| 資金 | 年収・頭金が未入力 | 0.0 |
| 入力あり | 0.9 | |
| 資産性 | 人口動向が取れない | 0.4 |
| 市区町村の人口動向が取れる | 0.6 | |
| 250mメッシュの将来推計人口が取れる | 0.75 |
満点の1.0になるのは、価格で成約データの確からしさが高いときだけです。 ほかのカテゴリは、取れるものを全部取っても1.0に届きません。建物の中を見て いない、管理の書類を読んでいない、といった残りが必ずあるからです。 無料の診断で100%にはなりません。そういう設計です。
年収と頭金を入れないと、資金カテゴリの充足度は0.0になります。ほかの カテゴリの最低が0.2〜0.4なのに、ここだけ0です。
理由は、このカテゴリが利用者の入力だけでできているからです。住所からは 何も取れません。公的データから何かしら拾えるカテゴリと違い、入力が無ければ 本当にゼロです。そのかわり、点数のほうは中立の0.5を置いて、有利にも不利にも 働かないようにしています。
ここまでは「充足度だけ下げて、点は動かさない」という話でした。例外が一つ あります。災害リスクです。
ハザードのデータを取得できなかったとき、リスクカテゴリの素点は0.7で 頭打ちになります。充足度も0.3に落ちます。見ていないのに満点にはしない という線です。浸水するかどうかを調べていない土地を、調べたうえで該当なしだった 土地と同じ点にするのは、この診断でいちばんやってはいけない嘘になります。
逆に「該当なし」と書けるのは、調べた場合だけです。取得できていないときは、 強みの欄にも弱みの欄にも何も出しません。沈黙します。
ハザードの中でも、層によっては提供元の利用条件で取得していない地域が あります。このとき、取得できた層だけを見て「指定区域に該当なし」と書くと、 見ていない層を該当なしに数えたことになります。
そこで、取れなかった層があるときは素点を0.7で頭打ちにし、充足度を0.5で 頭打ちにしたうえで、「この地域では津波浸水想定を確認していません」のように、 確認していない層の名前を弱みの欄に出します。何を見ていないかまで書いて、 はじめて未確認と言えます。
充足度が0.5未満のカテゴリは、結果画面の「確認すること」に自動で並びます。 0.5という線に深い意味はありません。半分に届いていないものは、点数の裏づけが 足りていないと見なす、というだけです。
この一覧が、そのまま仲介業者に聞くことのたたき台になります。「情報充足度が 低い」と言われても何をすればいいか分かりませんが、「価格:類似成約が不足し 価格評価できず」と書いてあれば、近隣の成約事例を出してもらう、という次の手が 決まります。
PROでは、重要事項説明書や現地で分かったことを入力します。そのときの 充足度の計算は、足し算ではなく、残りを埋める形にしてあります。
新しい充足度 = もとの充足度 +(1 − もとの充足度)× 答えた割合
ゼロから計算し直すと、何も答えずにPROに来た人が無料診断より低く出ます。 それは正しくありません。無料診断で分かっていたことは、PROでも分かったままです。 だから、もとの充足度を出発点にして、残っている幅を答えた割合で埋めます。 全部答えれば1.0、半分なら残りの半分ぶんだけ上がります。
答えられなかった項目は消えません。次に分かったときに入れれば上がる、という だけです。答えようのない項目を分母に残してしまうと、いくら答えても上がりきらず、 何が足りないのかも分からなくなります。
情報充足度が低い診断は、失敗した診断ではありません。まだ調べていない段階の 診断です。この数字が意味を持つのは、総合点と並べて見たときです。
80点で充足度85%なら、それなりに見たうえでの80点。80点で充足度45%なら、 残りの55%のどこかに、点を大きく動かすものが隠れている可能性があります。 上がるほうにも下がるほうにも動きます。
だから、買付を入れるかどうかを決める前に見るべきなのは、総合点ではなく 「確認すること」の欄です。そこが空に近づいてから総合点を見る。順番が逆だと、 点数だけが独り歩きします。
この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。無料で診断する ・ 土地を診断する(注文住宅)