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重要事項説明書のどこを見るか。条文の号まで指して並べました

2026-10-01 / 長沢 銀河(宅地建物取引士) 運営者について

重要事項説明書は、契約の直前に渡されます。宅地建物取引士が読み上げ、買主はそれを聞いて判断する。30ページ近いものを、その場で初めて見て判断するのは無理があります。先に読む場所を絞っておくための一覧です。

何が書かれるかは、法律で決まっている

重要事項説明の記載事項は、宅地建物取引業法35条と、その施行規則が定めて います。項目ごとに号が振られているので、「第何号の欄を見せてください」 と言えば、担当者にそのまま通じます。

以下、条文の番号は e-Gov 法令検索で確かめたものです。 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)

どの物件でも見る4か所

欄根拠
登記された権利の種類と内容法35条1項1号
法令に基づく制限の概要法35条1項2号
飲用水・電気・ガス・排水の整備状況法35条1項4号
契約不適合責任の履行に関する措置法35条1項13号

登記された権利の種類と内容(1号)

抵当権が残っていないか、名義人が売主本人か。残っている場合、決済の日に 抹消される段取りになっているかまで確かめてください。売主本人でない名義が 入っていれば、その理由を聞く必要があります。

法令に基づく制限の概要(2号)

都市計画法・建築基準法などの制限がまとまっている欄です。用途地域、 建ぺい率、容積率、防火の指定、市街化調整区域かどうか。建て替えや増築で できることが、ここで決まります。

広告に書かれた建ぺい率・容積率と食い違っていないかを、この欄と 突き合わせてください。

飲用水・電気・ガス・排水の整備状況(4号)

未整備なら、整備の見通しと自己負担の額が書かれます。浄化槽か下水道かで、 毎月の費用も変わります。更地では、ここが数十万円から数百万円の差になります。

契約不適合責任の履行に関する措置(13号)

引渡し後に不具合が見つかったときの備えです。既存住宅売買瑕疵保険に 入るかどうかが、ここに書かれます。個人が売主の中古住宅では、責任の期間を 短く定めることが多いので、何か月と書かれているかを見てください。

当てはまるときだけ書かれる欄

物件の条件によって、書かれる欄が増えます。自分の物件に当てはまるものを 先に把握しておくと、読む場所が絞れます。

欄根拠いつ書かれるか
都市計画法の区域区分法35条1項2号市街化調整区域などのとき
私道に関する負担法35条1項3号前面道路が私道のとき
建物状況調査の結果と書類の保存状況法35条1項6号の2既存住宅のとき
代金以外に授受される金銭/契約の解除法35条1項7号・8号手付金などがあるとき
造成宅地防災区域内にある旨規則16条の4の3第1号区域内のとき
土砂災害警戒区域内にある旨規則16条の4の3第2号区域内のとき
津波災害警戒区域内にある旨規則16条の4の3第3号区域内のとき
水害ハザードマップにおける所在地規則16条の4の3第3号の2すべての取引
石綿(アスベスト)使用調査の結果規則16条の4の3第4号調査記録があるとき
耐震診断の内容規則16条の4の3第5号旧耐震で診断済みのとき

建物状況調査(6号の2)

インスペクションを実施しているかどうかと、していればその結果の概要。 設計図書や点検記録が残っているかも、この欄で分かります。実施していなければ、 契約前に自分で手配できるかを聞いてください。

私道に関する負担(3号)

前面道路が私道なら、持分・通行・掘削の承諾が要ります。 承諾が取れないと給排水管の引き直しができません。覚書や承諾書の 現物があるかまで確かめてください。口約束では意味がありません。

耐震診断の内容(規則16条の4の3第5号)

昭和56年6月1日より前に新築工事に着手した建物で、耐震診断を受けている ときは、その内容が書かれます。書かれていなければ、診断を受けていない という意味です。「診断の結果、問題なし」ではありません。

石綿使用調査の結果(規則16条の4の3第4号)

調査の記録があるときに、その内容が書かれます。調査そのものを行う義務は ないため、記載が無いことは「使われていない」という意味になりません。 ここは読み違えやすい欄です。

マンションで追加される欄

欄根拠
敷地に関する権利の種類と内容規則16条の2第1号
専有部分の用途その他の利用の制限規則16条の2第3号
修繕積立金の規約の定めと、既に積み立てられている額規則16条の2第6号
通常の管理費用の額規則16条の2第7号
維持修繕の実施状況の記録規則16条の2第10号

敷地が所有権か借地権か。借地だと地代と期間、住宅ローンが使えるかまで 関わります。利用の制限はペット・楽器・事務所利用・リフォームの範囲で、 規約で決まっているのであとから変えられません。

維持修繕の実施状況の記録は、大規模修繕を何回、いつ実施したか。 記録が残っていない管理組合は、その事実自体が判断材料になります。

重説には書かれないこと

ここを混同している説明をよく見ます。管理費・修繕積立金の滞納額は、 重要事項説明の記載事項ではありません。

滞納額が載るのは、管理会社が出す重要事項調査報告書のほうです。 別に取り寄せてもらってください。滞納は、いずれ他の区分所有者が負担する ことになります。買ったあとの自分も、その「他の区分所有者」です。

物件状況報告書(告知書)と設備表も、重説とは別の書類です。雨漏り・ シロアリ・給排水の不具合について売主が申告するもので、中古住宅では こちらのほうが建物の状態をよく語ります。

当日より前にもらう

重要事項説明書は、契約の当日に初めて見るものだと思われがちですが、 事前に写しをもらうことは可能です。断られる理由はありません。 「契約の前に重要事項説明書の写しをいただけますか」と頼んでください。

もらえたら、上の表と突き合わせて、空欄や「なし」と書かれた欄に印を 付けておきます。当日は、その印の欄だけ質問すれば済みます。 読み上げを聞きながら理解しようとするより、はるかに確実です。

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