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4人家族で125㎡。誘導居住面積水準を、土地の採点に使っています

2026-09-22 / 長沢 銀河(宅地建物取引士) 運営者について

土地の広告に「125㎡」と書いてあっても、そこに何㎡の家が建てられるかは別の話です。建ぺい率と容積率から出した延床の上限が、家族が暮らすのに足りているか。その物差しとして、この診断は国が示してきた誘導居住面積水準を使っています。

水準は二つある

住生活基本法にもとづく住生活基本計画(全国計画)が、住まいの広さについて 二つの水準を示してきました。名前が似ていますが、意味はまったく違います。

最低居住面積水準は、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な 面積です。下回ってはいけない線のほうです。誘導居住面積水準は、豊かな住生活の 実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる面積。 こちらは目指す線です。

誘導居住面積水準はさらに二つに分かれます。都市の郊外および都市部以外の 一般地域における戸建住宅居住を想定した一般型と、都市の中心および その周辺における共同住宅居住を想定した都市居住型。注文住宅の土地を 探している人が見るのは、一般型のほうです。

算式は、どちらも一行

令和3年3月19日に閣議決定された住生活基本計画(全国計画)の別紙3・別紙4が、 こう定めていました。面積は住戸専用面積・壁芯で測ります。

水準単身者2人以上の世帯
最低居住面積水準25 ㎡10 ㎡ × 世帯人数 + 10 ㎡
誘導・都市居住型40 ㎡20 ㎡ × 世帯人数 + 15 ㎡
誘導・一般型55 ㎡25 ㎡ × 世帯人数 + 25 ㎡

出典:住生活基本計画(全国計画)別紙3 誘導居住面積水準・別紙4 最低居住面積水準(令和3年3月19日閣議決定) 国土交通省

人数を入れると、こうなります。

世帯人数最低誘導・都市居住型誘導・一般型
1人25 ㎡40 ㎡55 ㎡
2人30 ㎡55 ㎡75 ㎡
3人40 ㎡75 ㎡100 ㎡
4人50 ㎡95 ㎡125 ㎡
5人57 ㎡109.2 ㎡142.5 ㎡

5人の行だけ、式のとおりに計算した数より小さくなっています。世帯人数が 4人を超える場合は上記の面積から5%を控除する、という注が付いているためです。 25×5+25=150 に0.95を掛けて142.5㎡。

子どもは、1人と数えない

もうひとつ注があります。式における世帯人数は、3歳未満の者は0.25人、 3歳以上6歳未満の者は0.5人、6歳以上10歳未満の者は0.75人として算定する。 ただし、これらにより算定された世帯人数が2人に満たない場合は2人とする。

夫婦と2歳の子ども1人なら、3人ではなく 1+1+0.25=2.25人。一般型で 25×2.25+25=81.25㎡です。4人家族でも、下の子が2人とも未就学なら 2+0.5+0.25=2.75人で、93.75㎡まで下がります。子どもが育てば上がるので、 いま必要な広さと、10年後に必要な広さが別の数字になる、という作りです。

断っておくと、この診断はこの換算を実装していません。入力は世帯人数 だけで、全員を1人として数えます。年齢を聞いていないからです。その結果、 小さい子どものいる家庭には、実際の水準より厳しい数字を当てていることになります。 甘いほうに外すよりましだと考えてそうしていますが、外していることは書いておきます。

この診断が、どこで使っているか

土地の100点のうち、「建てられる家」が25点。内訳は延床14点、建築面積7点、 用途地域4点です。延床がこのカテゴリの主役で、その14点を決めるのに使うのが 誘導居住面積水準です。

まず建ぺい率・容積率・前面道路から、その土地に建てられる延床の上限を 計算します。それを4人世帯なら 最低50㎡ / 都市居住型95㎡ / 一般型125㎡ という三つの点に当てて、間は直線でつなぎます。

延床の上限(4人世帯)延床の素点
125 ㎡ 以上1.00(満点)
110 ㎡0.875
95 ㎡0.75
70 ㎡0.528
50 ㎡0.35
40 ㎡0.28

段ではなく坂にしてあります。124㎡と125㎡で点が跳ねる作りにすると、 境目に落ちた人に説明がつきません。水準は合格・不合格を決める試験ではなく、 どのくらい近いかを見るための目盛りとして使っています。

令和8年3月に、別紙から外れた

ここは正確に書きます。令和8年3月27日に新しい住生活基本計画(全国計画)が 閣議決定され、計画期間は令和8年度から令和17年度になりました。この新しい計画の 別紙は、住宅性能水準・居住環境水準・公営住宅の供給の目標量の三つです。 誘導居住面積水準と最低居住面積水準の別紙は、無くなりました。

数値が本文から消えたわけではありません。別紙1の住宅性能水準に、今後の 住宅ストックの充実に当たって供給・流通を促していく住宅の規模について、 これまでの単身世帯の最低居住面積水準が25㎡以上とされてきたことにも留意しつつ、 40㎡程度を上回る住宅とする、という書き方で一度だけ出てきます。「とされてきた」 という過去形です。

いっぽうで、水準そのものは指標として生きています。新しい計画の一般観測指標に、 子育て世帯における誘導居住面積水準達成率と、最低居住面積水準未満率が並んでいます。 策定時現状値は、達成率が全国42%・大都市圏38%(令和5年)、未満率が 全国3.8%・大都市圏4.3%(同)。測るのはやめていない、ということです。

出典:住生活基本計画(全国計画)(令和8年3月27日閣議決定)別紙1、 および同計画の一般観測指標 国土交通省

この診断が使っているのは、令和3年計画の別紙3・別紙4の算式です。指標として 計り続けられている以上、物差しとしては使えると判断しました。判断した以上、 どの計画の数字かを書いておく必要があるので、ここに書いています。

4割しか届いていない、という数字の読み方

達成率42%は、裏返すと、子どもがいる世帯の6割近くが誘導居住面積水準に 届いていないということです。水準に届かない家が異常なのではありません。 これは目指す線のほうなので、届いていないのが普通の状態です。

だから、延床の上限が100㎡で素点が0.8前後に出ても、悪い土地という意味では ありません。95㎡(都市居住型)を超えていれば、共同住宅なら誘導水準を満たす 広さです。0.75より下、つまり都市居住型にも届かないあたりから、間取りの工夫では 埋まらない狭さになってきます。

延床の上限は、使い切った場合の数字

最後に、実務でいちばん効く注意を書いておきます。この診断が出す延床の上限は、 容積率を使い切ったらという前提の数字です。使い切るのに何階建てが要るかは、 延床の上限を建築面積の上限で割れば出ます。

125㎡の土地で建ぺい率60%・使える容積率160%なら、建築面積の上限75㎡、 延床の上限200㎡。200÷75=2.7なので、使い切るには3階建てが要ります。 2階建てで建てるなら、実際の延床は150㎡あたりで頭打ちです。結果画面にも その旨を出していますが、広告の容積率をそのまま「建てられる広さ」と読むと、 ここで1階ぶん多く見積もることになります。

設計を頼むときは、何階建てを前提にした延床かを先に決めてから話すこと。 そのうえで、水準と比べるなら壁芯であること、小屋裏収納やロフトが延床に入るか 入らないかは設計事務所に確認すること。同じ「125㎡」でも、測り方の話が 二つ混ざっていると、話が噛み合いません。

この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。土地を診断する(注文住宅) ・ 戸建を診断する

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