「築20年を超えると住宅ローン控除は使えない」というのは、いまは当てはまりません。築年数の要件は撤廃されていて、代わりに置かれたのが登記簿上の建築日付が1982年1月1日以後かという線です。
控除されるのは、その年の年末ローン残高の0.7%です。ただし残高そのものではなく、区分ごとに決まった借入限度額との小さいほうに0.7%を掛けます。中古住宅(既存住宅)の場合はこうなります。
| 住宅の区分 | 借入限度額 | 控除期間 |
|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 13年 |
| その他の住宅 | 2,000万円 | 10年 |
子育て世帯(19歳未満の扶養親族がいる世帯)と若者夫婦世帯では、上の3つの区分に上乗せがあります。長期優良・低炭素とZEH水準は4,500万円、省エネ基準適合は3,000万円。「その他の住宅」には上乗せがありません。
合計所得金額が2,000万円を超える年は、その年の控除は受けられません。出典は国土交通省の住宅ローン減税のページ(既存住宅・買取再販住宅)です。
宅地建物取引業者が一定の増改築をして売る買取再販住宅は、別の表になります。長期優良・低炭素なら4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)まで上がります。同じ中古でも、誰から買うかで限度額が変わります。
かつては「木造は築20年以内、マンションは築25年以内」という要件がありました。令和4年度の税制改正でこれが撤廃され、代わりに登記簿上の建築日付で判定するようになりました。1982年1月1日以後に建築された住宅なら、築年数を問わず対象になります。
それより前に建築された住宅でも、現行の耐震基準を満たすことを証明できれば対象になります。証明の方法は3つあり、どれか1つで足ります。
耐震基準適合証明書だけが道だと思われがちですが、既存住宅売買瑕疵保険に加入できる物件であれば、その証明書でも通ります。物件によっては、こちらのほうが現実的なことがあります。
紛らわしいのですが、耐震基準としての境目は1981年6月1日の建築確認で、こちらとは日付も基準も別です。違いは新耐震かどうかは築年では決まりませんに書きました。
床面積は50㎡以上が要件です。ただし2026年(令和8年)以降に住み始める中古住宅は、40㎡以上50㎡未満でも対象になります。条件が2つ付きます。
買取再販住宅も同じ扱いです。出典は国税庁のタックスアンサー No.1211-3(中古住宅)とNo.1211-2(買取再販住宅)で、どちらも令和8年4月1日現在の法令にもとづく頁です。合計所得金額は年収そのものではなく、給与なら給与所得控除を引いた後の額で、控除を受ける人ごとに見ます。
そのうえで、ここで見るのは登記事項証明書に表示されている床面積で、国税庁は判断基準をこう書いています。マンションの場合は、階段や通路などの共用部分を含めず、登記事項証明書上の専有部分の床面積で判断します。
この差が効きます。マンションの登記簿の面積は内法(壁の内側)で測る一方、販売図面やチラシの専有面積は壁芯(壁の中心線)で書かれていることが多く、登記簿の面積はそれより小さくなります。販売図面で52㎡でも、登記簿では 50㎡を割ることがあります。
境目は2本あります。50㎡を割ると所得の上限が1,000万円に下がり、上乗せが使えなくなります。40㎡を割ると、控除そのものが使えません。販売図面で42㎡の物件は、登記簿では40㎡を割っているかもしれません。
40㎡や50㎡の前後の物件を検討しているなら、登記事項証明書を取り寄せて確かめてください。この一手間で、控除の可否が変わります。
資金計画(PRO)は、所得の要件を本人の年収で判定します。年収を給与収入とみなし、給与所得控除を引いた合計所得金額を、2,000万円(40㎡台は1,000万円)と比べます。共働きでも、夫婦の合計では比べません。給与以外の所得がある人や自営業の人は、確定申告の合計所得金額で確かめてください。
資金計画(PRO)では、各年の年末残高を計算し、限度額との小さいほうに 0.7%を掛けて合計します。ここで出るのは制度上の上限であって、実際に戻ってくる金額ではありません。
控除は所得税から引くもので、引ききれない分は翌年の住民税から一定の範囲で引かれます。どちらも納めている額が上限なので、納税額が少ない年は控除枠を使い切れません。結果画面にも「実際の控除額は、その年の所得税・住民税の額が上限になります」と出しています。
区分が分からないときは「その他の住宅」で計算されます。省エネ基準適合以上に当たるかどうかは書類がないと判定できず、こちらで推測すると限度額が1,500万円変わってしまうためです。
仲介の担当者に、次の3つを頼んでください。登記事項証明書(建築日付と床面積が両方載っています)、住宅性能評価書や省エネ性能を示す書類の有無、そして1982年より前の物件なら、既存住宅売買瑕疵保険に加入できる物件かどうか。
最後の1つは、加入できるかどうかを調べるのに検査が要ることがあります。売買契約のあとに動き出すと間に合わないことがあるので、申込みの段階で聞いておくのが確実です。控除が使えるかどうかで、借入額の組み立てが変わります。
この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。資金計画を試算する