変動金利の5年ルールは、金利が上がっても5年間は毎月の返済額を据え置く仕組みです。据え置かれるのは請求額であって、利息の計算には新しい金利がその月から使われます。返済額の中で利息に回る分が増え、元金の減りが遅くなります。
先に断っておきます。この診断が使っている年1.25%という金利は、 どこかの金融機関の実際の金利ではありません。試算の出発点として 運営者が置いた既定値で、config.json の loan_rate に書いてあります。 入力欄で変えられるようにしてあるのは、そのためです。
いまご自身がいくらで借りられるかは、申し込む金融機関でしか分かりません。 ここで書けるのは、その数字が動いたときに何が起きるか、のほうです。
借入3,000万円・35年・元利均等返済で計算します。PROの資金計画が出している 表と同じ計算です。
| 金利 | 月々 | 現在との差 | 総返済額 |
|---|---|---|---|
| 1.25% | 88,226円 | — | 3,705万円 |
| 1.75% | 95,573円 | +7,347円 | 4,014万円 |
| 2.25% | 103,271円 | +15,045円 | 4,337万円 |
| 2.75% | 111,310円 | +23,084円 | 4,675万円 |
1%上がると、月々は15,045円、35年の総返済額は632万円増えます。借りた額は 同じ3,000万円ですから、増えた632万円はすべて利息です。
これは「金利がこうなる」という予測ではありません。その金利になった 場合にいくらになるかを並べただけのものです。どこまで上がるかは誰にも 分かりませんが、上がった場合にいくらになるかは、先に計算できます。
変動金利の多くには、二つの決まりが付いています。三菱UFJ銀行の説明では、 「返済額は5年ごとに見直しします。金利が変更になっても、次回の見直しまで 返済額は変わりません」「新返済額は前回までの返済額の125%を超えることは ありません」とあります。前者が5年ルール、後者が125%ルールです。
出典:三菱UFJ銀行 よくあるご質問「住宅ローンの5年ルール・ 125%ルールについて知りたい。」 faq01.bk.mufg.jp/faq/show/5787
ここは読み違えられやすいところです。5年間は金利が上がらない、あるいは 5年間は利息が増えない、と受け取られることがあります。そうではありません。第一ライフ資産運用経済研究所の解説は、 「金利上昇による利息負担が減るわけではない。据え置かれた返済額のなかで 利払いに充てられる部分が増加し、元金の返済が遅れることになる」と書いて います。
出典:第一ライフ資産運用経済研究所 新家義貴「【1分解説】 住宅ローンの5年ルール、125%ルールとは?」(2025年9月16日) dlri.co.jp/report/ld/512740.html
払う額が同じで、利息に回る分が増えるなら、元金に回る分は減ります。 5年後に返済額が見直されるとき、残高は想定より多く残っています。 先送りであって、減額ではありません。
125%の上限も、同じ性格のものです。上の表の借入3,000万円なら、 1.25%のときの月々88,226円に対して、上限は110,282円。金利が2.75%まで 上がったときの111,310円は、この上限をわずかに超えます。超えた分が 消えるわけではなく、次の見直しへ回るだけです。
金利の上がり方が大きいと、据え置かれた返済額では利息を払いきれず、 足りない分が未払利息になることがあります。その扱いは金融機関に よって違うので、変動で借りるなら、契約前に確かめておく項目のひとつです。
この二つは法律で決まったものではなく、商品ごとの約定です。採用して いない金融機関もあり、その場合は金利が変わった月から返済額が変わります。 返済額が早く増える代わりに、元金の減りが遅れることも、未払利息が積み上がる こともありません。
どちらが有利かは一概には言えません。はっきりしているのは、 同じ「変動金利」という言葉で、返済額の動き方が違う商品が売られている ということです。
上の表は、5年ルールも125%ルールも入れていません。「その金利になったら 月々いくらか」を素直に計算したものです。実際の請求額は、契約している ルールによってこれより緩やかに上がります。ただし総額は、先送りしたぶん 減るわけではありません。
未払利息も計算していません。金融機関ごとに扱いが違い、どれか一つの やり方を全員に当てはめると、かえって外すためです。
固定期間選択型や全期間固定で借りる場合は、固定している間はこの表の 話が当てはまりません。固定期間が終わったあとに、同じ話が来ます。
無料の診断で出しているのは月々の返済額までで、この表はPROの資金計画で 出しています。中身は資金計画の見本で そのまま見られます。返済負担率の見方は 別の記事に書きました。
変動で借りるなら、金融機関に聞くことは二つです。この商品に5年ルールと 125%ルールは付いているか。付いているなら、未払利息が出たときどう扱うか。 どちらも商品説明書に書いてあるはずのことなので、聞けば答えが返ってきます。
答えを聞いたうえで、上の表の「+1.0%」の行をもう一度見てください。 月々15,045円の増加を、いまの家計で吸収できるかどうか。5年ルールは、その 判断を先送りにできる仕組みであって、判断しなくてよくなる仕組みでは ありません。
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