管理費が高いと感じたとき、最初に比べるべきなのは近隣の相場ではありません。同じ建物の、戸数と設備と管理の中身です。そして管理費より先に見るべき数字が、もう一つあります。
管理費は、建物の維持にかかる費用を戸数で割ったものです。だから同じ サービス水準でも、戸数が少ないほど1戸あたりは高くなります。 30戸のマンションと300戸のマンションでは、管理員1人の人件費を割る分母が 10倍違います。
設備も効きます。エレベーターが2基、機械式駐車場、宅配ボックス、 オートロック、ディスポーザー。あればあるほど点検と保守の費用が乗ります。 24時間有人管理なら、当然その人件費が入ります。
つまり「月2万円は高い」とは言えません。言えるのは「この戸数とこの設備で 月2万円なら、何に使っているか」です。
月々出ていく金額としては同じでも、性質がまったく違います。 管理費は使い切るもの。修繕積立金は将来の工事のために貯めるものです。
足りなければ、大規模修繕のときに一時金を徴収されるか、借入をするか、 工事を先送りするかになります。先送りすれば建物が傷み、資産価値に跳ね返ります。 安い積立金は、得ではなく先送りです。
マンションの修繕積立金に関するガイドラインが、専有床面積1㎡あたり月額の 目安を示しています。地上何階建てか、建築延床面積がどれくらいかで区分が 分かれ、機械式駐車場があれば加算します。
この診断は、その目安の幅と比べています。たとえば70㎡で月13,000円なら 1㎡あたり186円。目安の幅に入っているかを見て、下限を下回っていれば そう書きます。
出典:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン
読み方は修繕積立金の目安は㎡あたり月いくらかに まとめました。
この診断のPROでは、管理について次の8項目を聞いています。管理費が 妥当かどうかは、この8つの答えで決まります。
| 見るところ | 良い状態 | 危ない状態 |
|---|---|---|
| 長期修繕計画 | 30年以上の計画がある | 計画そのものが無い |
| 大規模修繕 | 直近10年以内に実施 | 一度も実施していない |
| 管理費等の滞納 | 滞納なし | 滞納が多い |
| 共用部の状態 | 良好 | 気になる点がある |
| 管理計画認定 | 認定を受けている | — |
| 管理の形態 | 全部委託 | 自主管理 |
| 管理員 | 常駐または日勤 | 管理員なし |
| 積立金の値上げ | 計画的 | 急な値上げが予定されている |
この中で、点をいちばん大きく引くのは長期修繕計画が無いことと 滞納が多いことです。どちらも、いまの金額ではなく将来の負担に 直結するからです。
いつ、どの工事を、いくらで行う予定かを示した計画です。これが無い管理組合は、 積立金の額に根拠がありません。「安い」のではなく「決めていない」だけ、 ということがあります。
滞納された管理費・修繕積立金は、回収できなければ他の区分所有者が 実質的に負担します。買ったあとの自分も、その「他の区分所有者」です。
重要なのは、滞納額は重要事項説明書には書かれないということです。 管理会社が出す重要事項調査報告書に載ります。別に取り寄せてもらってください。
マンション管理適正化法にもとづき、管理計画が一定の基準を満たすとして 市区町村の認定を受けた管理組合に与えられます。第三者が確かめた印なので、 自己申告の項目より重く見ています。
内見のとき、部屋だけでなく共用部を見てください。管理の質は、 たいていここに出ます。
掲示板はよく語ります。総会の議事録や、工事のお知らせが貼ってあれば、 管理組合が動いている証拠です。何も貼っていない掲示板は、それ自体が答えです。
管理組合の総会議事録は、買う前に見せてもらえることがあります。 数字では出てこないことが書かれています。
とくに値上げの議論が出ているかどうかは、いまの積立金が足りて いるかを映します。足りていれば議題になりません。
マンションの100点のうち、管理が15点です。ただし無料診断で見ているのは 修繕積立金の水準だけで、長期修繕計画も滞納も共用部も見ていません。 入力でも公的データでも取れないからです。
見ていないものを減点はしません。情報充足度を下げて、未確認だと書きます。 PROで答えが入ると、上の8項目が点に反映されます。
最初に頼むのは、重要事項調査報告書です。管理費・修繕積立金の額と 滞納状況、積立金の総額、大規模修繕の履歴と予定が、1枚にまとまっています。
重要事項調査報告書と、長期修繕計画書を見せていただけますか。
この2枚が出てくるかどうかで、だいぶ分かります。管理会社に頼めば 取れるものなので、出し渋られる理由はありません。
この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。マンションを診断する ・ PROでできることを見る