浸水想定区域に入っているというだけで候補から外すと、選べる家が大きく減る地域があります。区域が前提にしているのは、想定し得る最大規模の降雨です。深さの段と、その家の床の高さを並べてはじめて、判断の材料になります。
洪水浸水想定区域は、水防法第14条にもとづいて国や都道府県が指定します。前提にしている雨は、条文の言葉では次のとおりです。
想定最大規模降雨(想定し得る最大規模の降雨であつて
国土交通大臣が定める基準に該当するもの)
出典:水防法 第14条第1項
めったに降らない雨で、それでもどこまで水が来るかを描いた地図です。区域に入っていることは、毎年のように浸かることを意味しません。逆に、区域の外だから浸からないとも言えません。この区域は河川があふれた場合の想定で、側溝や下水があふれる内水(雨水出水)は別の地図になります。
自治体のハザードマップには、より頻度の高い雨を前提にした「計画規模」の地図が並んで載っていることがあります。この診断が見ているのは想定最大規模、つまり厳しいほうです。
想定される浸水深は6段階に分かれています(区分の一覧は浸水深の記事)。木造2階建ての2階の床は、おおむね地上3m前後にあります。それを物差しにすると、段ごとの意味はこうなります。
| 想定浸水深 | 読み方 | この診断のリスク評価 |
|---|---|---|
| 0〜0.5m未満 | 基礎の高さしだいで床上に届かない | 1.5点引く |
| 0.5〜3.0m未満 | 基礎を越えて1階の床に届きうる | 3点引く |
| 3.0〜5.0m未満 | 2階の床に届きうる | 7.5点以下に抑える |
| 5.0m以上 | 2階の床より上まで想定されている | 5.25点以下に抑える |
リスクは15点満点で、ほかに該当がなければの値です。3m以上は「引く」ではなく上限をかけています。ほかの条件がどれだけ良くても、それより上の点は付けない、という意味です。
3m以上の段は、結果画面の「重大なリスク」の欄にも「重大」として出します。3m未満でも区域に入っていれば「中」として出します。ただし、物件そのものを候補から外す仕組みにはしていません。場所はあとから直せませんが、浸かり方は家の造りで変わるからです。
ハザードマップの深さは、地面からの深さです。家の床からの深さではありません。同じ0.5〜3.0mの区分でも、床が高い家と低い家では、浸かり方が変わります。
地図に入っていない情報は、現地で見るしかありません。見るのは3つです。
基礎の高さは外から見て分かります。内見のときに、玄関の段差と外の地面を見比べてください。
宅地建物取引業法施行規則第16条の4の3第3号の2により、水防法にもとづいて市町村が提供するハザードマップ上の、物件のおおむねの位置は説明されます。洪水だけでなく、市町村が作っていれば内水と高潮の地図も対象です。
ただし義務になっているのは位置を示すところまでで、深さを読み上げることまでは含まれていません。凡例と照らして何mの段に入っているかは、自分で確かめることになります。
まず火災保険です。水災の補償を付けるかどうかは、0.5m未満の段と3m以上の段では判断が変わって当然です。保険の見積もりを取るときに、浸水深の段を伝えて比べてください。
次に、家の中での置き場所です。1階に何を置くか、電気の設備がどこにあるか。これは買ったあとでも変えられます。場所と違って、こちらは手を入れられます。
この物件は、市のハザードマップで何mの区分ですか。
それは想定最大規模と計画規模の、どちらの地図ですか。
この2つを仲介会社に聞き、基礎の高さは内見で自分の目で見てください。
この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。住所を入れて浸水深を確かめる ・ 土地を診断する(注文住宅)