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個人の売主は「責任を負わない」で売れる。中古戸建の契約不適合責任を読む

2026-10-08 / 長沢 銀河(宅地建物取引士) 運営者について

引渡しのあとで雨漏りが見つかった。売主に直してもらえるかどうかは、法律より先に契約書の特約で決まっています。中古戸建では、売主が責任を負わない、または短い期間だけ負う、と書かれていることがあります。

民法の原則:買主にできる4つのこと

引き渡された家が、種類や品質の点で契約の内容に合っていなかったとき、民法は買主に次の4つを認めています。

できること条文
直してもらう(追完の請求)民法562条
代金を減らしてもらう563条
損害を賠償してもらう564条(415条)
契約を解除する564条(541条・542条)

代金の減額は、まず期間を決めて直すよう求め、それでも直らないときに使うのが原則です(563条1項)。

期限は「知ってから1年以内に通知」

買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に
通知しないときは、…請求…をすることができない。

出典:民法 第566条。売主が引渡しの時に不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかったときは、この期限はかかりません

引渡しから1年ではなく、知ってから1年です。ただし、これは特約が無いときの話です。中古戸建の契約では、ここが特約で書き換えられていることが多くあります。

特約でどこまで削れるかは、売主しだい

売主特約の限界根拠
個人責任の免除も、期間の短縮も合意できる。ただし、知りながら告げなかった事実は免除されない民法572条
宅建業者通知の期間を「引渡しから2年以上」とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効宅建業法40条
宅建業者でない会社など(買主が個人)損害賠償の責任を全部免除する条項などは無効になりうる消費者契約法8条
新築住宅の売主構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分は、引渡しから10年。買主に不利な特約は無効品確法95条

品確法でいう新築住宅は、まだ人が住んだことがなく、工事の完了から1年を経っていない住宅です(品確法2条2項)。中古住宅は、この10年の対象に入りません。

個人の売主の中古戸建で書かれていることが多いのは、「責任を負わない」か、「引渡しから3か月以内に通知されたものに限る」のような特約です。個人どうしの取引なので、これは有効です。

免責でも、責任が残るもの

民法572条は、責任を負わないという特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れない、としています。

だから物件状況報告書(告知書)が大事になります。雨漏り、シロアリ、配管の故障、境界のもめごとなど、売主が知っていることを書く書類です。ここに「なし」と書かれていた不具合が見つかり、売主がそれを知っていたなら、免責の特約があっても責任を問える余地があります。

知っていたかどうかを示すのは、簡単ではありません。告知書は、あとで争うための書類ではなく、契約の前に読んで質問するための書類だと考えてください。

免責の契約で、買う側にできること

引渡しのあとで直してもらえないなら、問題は契約の前に見つけておくしかありません。

ひとつは建物状況調査です。何を見て何を見ないかはホームインスペクションの記事に書きました。

もうひとつは、免責の範囲を狭める交渉です。「すべて免責」ではなく、「雨漏り・構造の腐食・シロアリ・給排水管の故障に限り、引渡しから3か月」のように、対象と期間を区切って残してもらう。売主にとっても、知らない不具合で長く責任を負うよりは受け入れやすい形です。

契約書のどこを見るか

「契約不適合責任」の条項です。2020年4月の民法改正の前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたので、古い書式の言葉が残っていることもあります。

契約不適合責任は、免責ですか、期間付きですか。
期間付きなら、対象と期間は契約書の何条に書いてありますか。

契約書の写しをもらったら、仲介会社にこう聞いてください。免責なら、その分を建物状況調査と告知書で埋めることになります。

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