引渡しのあとで雨漏りが見つかった。売主に直してもらえるかどうかは、法律より先に契約書の特約で決まっています。中古戸建では、売主が責任を負わない、または短い期間だけ負う、と書かれていることがあります。
引き渡された家が、種類や品質の点で契約の内容に合っていなかったとき、民法は買主に次の4つを認めています。
| できること | 条文 |
|---|---|
| 直してもらう(追完の請求) | 民法562条 |
| 代金を減らしてもらう | 563条 |
| 損害を賠償してもらう | 564条(415条) |
| 契約を解除する | 564条(541条・542条) |
代金の減額は、まず期間を決めて直すよう求め、それでも直らないときに使うのが原則です(563条1項)。
買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に
通知しないときは、…請求…をすることができない。
出典:民法 第566条。売主が引渡しの時に不適合を知っていたか、重大な過失で知らなかったときは、この期限はかかりません
引渡しから1年ではなく、知ってから1年です。ただし、これは特約が無いときの話です。中古戸建の契約では、ここが特約で書き換えられていることが多くあります。
| 売主 | 特約の限界 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個人 | 責任の免除も、期間の短縮も合意できる。ただし、知りながら告げなかった事実は免除されない | 民法572条 |
| 宅建業者 | 通知の期間を「引渡しから2年以上」とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効 | 宅建業法40条 |
| 宅建業者でない会社など(買主が個人) | 損害賠償の責任を全部免除する条項などは無効になりうる | 消費者契約法8条 |
| 新築住宅の売主 | 構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分は、引渡しから10年。買主に不利な特約は無効 | 品確法95条 |
品確法でいう新築住宅は、まだ人が住んだことがなく、工事の完了から1年を経っていない住宅です(品確法2条2項)。中古住宅は、この10年の対象に入りません。
個人の売主の中古戸建で書かれていることが多いのは、「責任を負わない」か、「引渡しから3か月以内に通知されたものに限る」のような特約です。個人どうしの取引なので、これは有効です。
民法572条は、責任を負わないという特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れない、としています。
だから物件状況報告書(告知書)が大事になります。雨漏り、シロアリ、配管の故障、境界のもめごとなど、売主が知っていることを書く書類です。ここに「なし」と書かれていた不具合が見つかり、売主がそれを知っていたなら、免責の特約があっても責任を問える余地があります。
知っていたかどうかを示すのは、簡単ではありません。告知書は、あとで争うための書類ではなく、契約の前に読んで質問するための書類だと考えてください。
引渡しのあとで直してもらえないなら、問題は契約の前に見つけておくしかありません。
ひとつは建物状況調査です。何を見て何を見ないかはホームインスペクションの記事に書きました。
もうひとつは、免責の範囲を狭める交渉です。「すべて免責」ではなく、「雨漏り・構造の腐食・シロアリ・給排水管の故障に限り、引渡しから3か月」のように、対象と期間を区切って残してもらう。売主にとっても、知らない不具合で長く責任を負うよりは受け入れやすい形です。
「契約不適合責任」の条項です。2020年4月の民法改正の前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたので、古い書式の言葉が残っていることもあります。
契約不適合責任は、免責ですか、期間付きですか。
期間付きなら、対象と期間は契約書の何条に書いてありますか。
契約書の写しをもらったら、仲介会社にこう聞いてください。免責なら、その分を建物状況調査と告知書で埋めることになります。