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ホームインスペクションとデータの診断は、見ているものが違います

2026-10-08 / 長沢 銀河(宅地建物取引士) 運営者について

「住宅の診断」と検索すると、出てくるのはホームインスペクション、つまり建物の検査です。この診断はそれとは別物で、建物の中は一切見ていません。見ているのは住所から引ける公的データです。何がどちらに映り、何がどちらにも映らないかを知っておけば、使い分けができます。

法律上の名前は「建物状況調査」

宅地建物取引業法は、中古住宅の取引にかかわる建物の調査を「建物状況調査」として定めています。調べる部位と、調べる人が決まっています。

調べるのは2種類の部位

区分部位
構造耐力上主要な部分基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かいなど)、床版、屋根版、横架材(はり・けたなど)
雨水の浸入を防止する部分屋根、外壁、開口部の戸・わく・建具、雨水を排除するための排水管(屋根・外壁の内部か屋内にある部分)

出典:宅地建物取引業法施行規則 第15条の7

給湯器、キッチン、浴室といった設備は、この一覧に入っていません。給排水管も、雨水の排水管を除けば対象の外です。設備まで見てほしいなら、法定の範囲の外として依頼先と個別に決めることになります。

調べるのは講習を修了した建築士

建築士で、かつ国土交通大臣が定める講習を修了した人が、大臣の定める基準に従って行います(施行規則第15条の8)。

取引の中で、3か所に出てくる

場面書かれること条文
媒介契約建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項宅建業法34条の2第1項4号
重要事項説明調査を実施しているか、している場合は結果の概要。設計図書・点検記録などの保存の状況35条1項6号の2
売買契約書構造耐力上主要な部分等の状況について、当事者の双方が確認した事項37条1項2号の2

重要事項説明に載るのは、調査から1年以内のものだけです。鉄筋コンクリート造などの共同住宅は2年です(施行規則第16条の2の2)。それより前の調査は、実施していても説明の対象になりません。

法律が義務にしているのは、あっせんするかどうかを書くことと、実施したかどうかを説明することまでです。調査そのものは義務ではありません。誰も頼まなければ、調査なしで取引は進みます。

この診断と、見ているものはほとんど重ならない

見るもの建物状況調査この診断
基礎・柱・外壁の劣化、雨漏りの跡見る見ない
給湯器・キッチン・浴室対象外見ない
近隣の成約価格との比較見ない見る
洪水・土砂災害・液状化の区域見ない見る
用途地域・将来の人口見ない見る
築年と構造からみた古さ見ない見る

建物状況調査は建物の今の状態を、この診断は建物の外側、つまり場所と価格と制度を見ています。片方で、もう片方の代わりはできません。

この診断は、建物の状態を調べていないことを減点にしていません。調べていないことは、情報充足度が下がる形で画面に出します(情報充足度の記事)。

報告書は、調べられなかった箇所も読む

調査は、決められた部位を、その日に見られた範囲で見たものです。床下や小屋裏に入れなかった、家具で壁が見えなかった、という箇所は、報告書にそう書かれることがあります。

報告書で「指摘なし」が並んでいても、それは調べられた箇所の話です。調べられた結果と同じくらい、調べられなかった箇所の欄を読んでください。

頼むなら、契約の前に

調査は売主の家に入って行うので、売主の承諾が要ります。仲介会社を通して日程を組むことになります。

契約の後に問題が見つかっても、そこから引き返すには手付金を手放すことになります。結果を見てから契約するか決めたいなら、調査は申込みから契約までの間に入れる必要があります。契約の後に見つかった不具合を売主に直してもらえるかは、契約不適合責任の特約しだいです。

この物件で、1年以内に建物状況調査をしていますか。
していなければ、契約の前に入れられますか。

仲介会社への最初の質問は、この2つで足ります。

この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。住所から診断する ・ 見本の結果を見る

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