HOME INDEX
解説
HOME INDEX

← 解説の一覧

旧耐震のマンションは資産性を0.6倍にしています。戻せるのは管理組合だけ

2026-09-06 / 長沢 銀河(宅地建物取引士) 運営者について

築2年の違いで、資産性の点が5.6点動きます。1981年築と1983年築の間にある線は、築年の線ではなく耐震基準の線です。この診断は旧耐震に対して、減点ではなく掛け算を使っています。

1981年築と1983年築で、5.6点変わる

同じ条件(駅徒歩5分・5階/10階建・南向き・専有70㎡)で、築年だけを変えて採点するとこうなります。資産性はマンションの診断で20点満点です。

築年資産性
1975年築12.2点 / 20
1981年築12.2点 / 20
1983年築17.8点 / 20
2015年築20.0点 / 20

1975年と1981年が同じ点なのは、旧耐震の中では築年で差を付けていないからです。そして1981年と1983年の間だけ、5.6点の段差があります。

この診断は築年しか取れないので、1982年以降を新耐震として扱い、1981年築は旧耐震の側に倒しています。本当の境目は1981年6月1日の建築確認で、竣工年ではありません。1981年から1983年に完成した物件は築年では判別できないため、新耐震かどうかは築年では決まりませんに確かめ方を書きました。

なぜ引き算ではなく掛け算なのか

新耐震の物件では、築年は足し引きで効かせています。築10年以内なら 0.08足す、築36年以上なら0.10引く、といった具合です。ところが旧耐震だけは、それまでに積み上がった素点そのものを0.6倍します。

足し引きなら、駅が近いことで埋め合わせがききます。掛け算だと、きかない。駅徒歩5分の強みも0.6倍されるからです。上の表で駅徒歩5分の物件が12.2点までしか行かないのは、そのためです。

意図してそうしています。地震のときに建物がどう壊れるかは、駅まで何分かとは別の話で、片方でもう片方を相殺できる性質のものではないからです。足し引きにすると「駅が近いから帳消し」という計算が成立してしまいます。

戸建と違って、自分では直せない

戸建なら、耐震改修は自分で決めて自分で発注できます。マンションの耐震改修は建物の共用部分に手を入れるので、自分ひとりでは決められません。

建物の区分所有等に関する法律第17条第1項により、共用部分の変更は、集会に出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上の多数で決めます。建替えとなるとさらに重く、同法第62条第1項で区分所有者および議決権の各5分の4以上が必要です。

つまり、買ったあとに「耐震が不安だから直そう」と思っても、自分の意思だけでは何も動きません。これが、旧耐震のマンションを旧耐震の戸建と同じようには見られない理由です。

ただし、診断を受けると決議の要件が下がる

ここは知られていないわりに効きます。耐震診断を受けたうえで、所管行政庁から「耐震改修を行う必要がある」との認定を受けると、その建物は要耐震改修認定建築物になります(建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第1項・第2項)。

この認定を受けると、耐震改修についての区分所有法第17条の適用が読み替えられ、4分の3以上ではなく「集会の決議」で足りることになります(同法第25条第3項)。

建替えのほうにも同じ向きの規定があります。地震に対する安全性の基準に適合していない場合、建替え決議の要件は5分の4から4分の3に下がります(区分所有法第62条第2項第1号)。

旧耐震であること自体が、動かしやすさを上げる方向にも働くということです。ただしどちらも、入口は耐震診断を受けていることです。診断をしていないマンションは、この道に入れません。

だから、PROでは耐震診断を聞いている

無料の診断で分かるのは築年までなので、点が動くのは資産性の0.6倍だけです。あわせて重大リスクに「旧耐震基準」を出し、耐震診断・改修の履歴と、住宅ローン控除が使えるかを確認するよう書いています。

PROの診断では耐震診断の実施状況を伺っていて、回答によって管理の評価(15点満点)が動きます。

耐震診断の状況管理の扱い
診断で要補強とされている5.25点以下に抑える/重大リスクに表示
診断済みで問題なし・補強済み素点に0.08加える
未実施点は動かさず、理由欄に表示するだけ

未実施を減点していないのは、実施していないこと自体は建物の状態を表さないからです。ただし旧耐震で、かつ耐震診断の状況が分からないときは、仲介業者への質問リストにその物件専用の1問が足されます。

契約前に、何を見るか

耐震診断の報告書があるかどうかを、まず聞いてください。あれば結果(Is値などの数値)と、補強工事をしたかどうか。していないなら、総会で議題に上がったことがあるかどうかまで踏み込む価値があります。議事録を見せてもらうのが確実です。診断や補強が何度も先送りされている管理組合は、そのあとも決められないことが多いためです。

あわせて、住宅ローン控除が使えるかどうかも確かめてください。登記簿上 1982年1月1日より前に建築された住宅は、耐震基準適合証明書などがないと対象になりません。旧耐震のマンションでは、この証明が取れるかどうかで資金計画が変わります。

修繕積立金の水準も、耐震の話と地続きです。補強工事の費用は最終的に区分所有者が出すので、積立が薄い管理組合ほど決議は通りにくくなります。目安は修繕積立金の目安に書きました。

この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。築年を入れて資産性の点を見る

解説
PROでできること ・ 無料とPROのちがい ・ 資金計画の見本
運営者について ・ 利用規約 ・ プライバシーポリシー ・ 特定商取引法に基づく表記
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ/国土地理院
商業施設:© OpenStreetMap contributors(ODbL)
© HOME INDEX