中古住宅の良し悪しは、古さでは決まりません。決まるのは直せるか、直せないかです。直せるものは、お金と時間で解決できます。直せないものは、持ち続けるあいだずっと残ります。
先に、心配しなくていいほうを挙げます。次のものは、すべてお金で解決できます。 金額の見当が付けば、価格交渉の材料にもなります。
この診断でも、設備の更新時期は点を少し動かすだけにしています。 給湯器が10年を超えていれば引きますが、その幅は小さい。 交換できるものを、重く見積もる理由がありません。
建物は直せます。建て替えもできます。直せないのは、その土地に家を 建てられるかどうかという条件のほうです。
建築基準法43条は、建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならないと 定めています。この「道路」は原則として幅員4m以上のものです。間口が2mに 足りない土地、建築基準法上の道路に接していない土地は、いまの家を壊したら 次が建てられません。
この診断は、その疑いがあるとき総合点を30点で頭打ちにします。 ほかがどれだけ良くても70点を出しません。建てられない可能性のある土地に 高い点を出すと、点数が判断を誤らせるからです。詳しくは 敷地は道路に2m以上に書きました。
隣地との境界が確定していないと、売るときに測量を求められます。 塀や屋根、配管が越境していれば、覚書が無いかぎり将来の建て替えで揉めます。 どちらも買ったあとに自分で解決するしかなく、相手のある話なので、 お金だけでは片付きません。
原則として建築に許可が要る区域です。既存宅地や分家住宅などの例外は 実際に多いので「建てられない」と断定はできませんが、「許可が要る」ことは 確かです。この診断は総合点を50点で頭打ちにしています。 市街化調整区域は建てられないのかに まとめました。
高低差のある土地の擁壁は、造り直すと数百万円かかります。検査済証が 残っていなければ、既存不適格なのか違法なのかが分かりません。建て替えの ときに作り直しを求められることがあります。
昭和56年6月1日より前に建築確認を受けた建物です。耐震補強はできますが、 マンションの場合は自分ひとりでは決められません。管理組合の決議が 要ります。この診断がマンションの資産性を0.6倍にしているのはそのためで、 戻せるのは管理組合だけです。
相場より明らかに安い中古住宅には、上のどれかが当たっていることが あります。安さそのものが問題なのではなく、安い理由を聞かずに買うことが 問題です。
理由が「設備が古い」なら、直せば済みます。理由が「再建築不可」なら、 一生直りません。同じ「安い」でも、意味がまったく違います。
正直に書きます。この診断は建物の中を見ていません。雨漏り、シロアリ、 床の傾き、給排水管の状態、どれも未確認のまま採点しています。
見ていないものを減点はしません。調べていない人を、悪い物件を買おうと している人として採点することになるからです。代わりに 情報充足度という別の数字を下げて、 何が未確認かを書き出します。
だから点数が高くても、それは「公的データで分かる範囲では問題が見つから なかった」という意味までです。建物の中は、内見で自分の目で見るしかありません。
物件を見る前に、仲介業者にこう聞いてください。
再建築は可能ですか。制限がある場合、その理由を教えてください。
答えが曖昧なら、それ以上は進めなくていい段階です。設備や内装の話は そのあとで構いません。順番を逆にすると、気に入ってから致命的なことが 分かる、という最悪の順序になります。
この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。戸建を診断する ・ マンションを診断する