中古マンションの部屋の中は、買ったあとで直せます。床も、キッチンも、配管の一部も。直せないのは建物と管理のほうで、そこは管理組合で決めることなので、自分ひとりでは直せません。避けるべきなのは、そちらに問題がある物件です。
マンションの区分所有者は、全員で建物と敷地を管理するための団体を構成します(区分所有法第3条)。これが管理組合です。外壁、屋上、エレベーター、共用の配管の修繕は、管理組合で決めます。
買う人ができるのは、自分の部屋(専有部分)の手入れまでです。共用部分に問題がある物件を買うと、直すかどうか、いつ直すか、いくら集めるかは、ほかの区分所有者との話し合いになります。戸建の記事で書いた「あとから直せないもの」が、マンションでははるかに多いということです。
PRO の詳細診断では、管理と権利の答えから、結果画面の「重大なリスク」の欄に次のものを出します。
| あてはまること | 重さ | なぜ自分では直せないか |
|---|---|---|
| 長期修繕計画がない | 重大 | いつ・いくらで何を直すかが決まっていない。必要なときに修繕できず、一時金の徴収につながる |
| 築15年を超えて大規模修繕が未実施 | 重大 | 実施の予定と、それを払う資金の裏付けが要る |
| 管理費・修繕積立金の滞納が多い | 重大 | 予定どおり積立金が集まらず、修繕計画が崩れる |
| 敷地が借地権 | 重大 | 土地は所有できない。地代・更新料・残存期間がかかわる |
| 耐震診断で要補強とされている | 重大 | 補強工事の予定と費用負担を管理組合で決める必要がある |
| 自主管理 | 中 | 会計や修繕の実務を、区分所有者自身が担っている |
| 積立金の急な値上げが予定されている | 中 | 買ったあとの月々の負担が変わる |
「重大」は、物件そのものを候補から外す仕組みではありません。確かめずに買うには重すぎる、という印です。自主管理については自主管理の記事に分けて書きました。
無料の診断は、入力された築年と修繕積立金から、次の2つを点数にしています。
| 見ていること | 点数への効き方 |
|---|---|
| 旧耐震かどうか(1981年以前の築年) | 資産性(100点中20点)の評価を0.6倍にする |
| 修繕積立金が国土交通省の目安の幅に入っているか | 管理(100点中15点)を、幅に入れば満点の85%、下限を下回れば50%にする |
旧耐震を0.6倍にしている理由は旧耐震のマンションの記事に、積立金の目安の読み方は修繕積立金の記事に書きました。どちらも、戻せるのは管理組合だけです。
無料の診断は、積立金の残高も修繕の履歴も見ていません。管理の点は、入力された額だけで出しています。そのぶん、情報充足度を低く出しています。
上の表のほとんどは、契約の前に書類で確かめられます。
| 書類 | 分かること |
|---|---|
| 重要事項調査報告書(管理会社が作る) | 管理費・修繕積立金の額、滞納、積立金の残高、大規模修繕の実施状況 |
| 長期修繕計画 | 計画があるか、計画期間、次の大規模修繕の時期と金額 |
| 直近の総会議事録 | 値上げや一時金の議題、修繕を巡る議論、理事のなり手 |
| 重要事項説明書 | 積立の規約と既に積み立てられている額、管理の委託先、維持修繕の実施状況の記録 |
重要事項説明書の項目は宅地建物取引業法施行規則 第16条の2(第6号・第8号・第10号)。重要事項調査報告書は法定の書類ではなく、管理会社が発行するものです
内見ではつい、部屋の広さや眺め、キッチンの古さに目が行きます。ただ、部屋の中はお金をかければ自分の判断で直せます。直せないものから先に見る、という順番の話です。内見の見方は中古マンションの内見の記事に書きました。
重要事項調査報告書と長期修繕計画、直近の総会議事録を、
申込みの前に見せてください。
仲介会社にはこう頼んでください。3つそろえば、上の表のほとんどが埋まります。
この記事の数字は、診断の採点にそのまま使っています。マンションを診断する